金融業界や公共、流通などの分野において、数多くの業務システムを構築してきた独立系システムインテグレーター・株式会社ハイマックス。1976年の創立以来、多くの企業の事業基盤を担うシステムを担当し、今なお成長を続けているIT企業です。
IT企業だからこそ人に投資する「人材と活力ある職場づくり」と「技術への投資」を繰り返してきた同社ですが、企業としての年月を重ねる中で様々な課題に直面し、その度にそのハードルを乗り越えてきました。
今回は人材開発本部の濱本様、佐々木様にお話を伺ってきました。Geppo導入の背景から今後の展望まで。多くのIT企業で参考になるお話です。
■「事業の成長」と「ステークホルダーの多様化」への対策としてのGeppo
―Geppo導入の背景を教えてください。
濱本氏:最初は「離職率の上昇傾向」に課題があり、問い合わせをしました。
我々はいわゆるB2Bの受託型の開発スタイルを採っているIT企業です。ご存知の通り、多くの企業のIT化が促進されていく中でたくさんのお手伝いをしてきたわけですが、徐々に顧客からの要望は高まってきており、競争環境も激化してきております。また、弊社の企業規模が大きくなるにつれ、関わるシステム規模も大きくなってきたことにより、顧客要望への柔軟な対応が必要となりました。
パートナーと連携して仕事を行ったり、顧客のオフィスに社員を常駐させたりしてプロジェクトを進めているのですが、そうすることで従業員一人ひとりの個が見えづらくなってきました。
このままでは、離職率が高まっていくのではないかと危機感を覚えていたため、導入の意思決定をしました。
佐々木氏:弊社はもともと「人」を重視する会社であり、個々人のパーソナルな情報を社員同士がよく理解している会社でした。困っている社員がいたらフォローする、若手の面倒は率先してみる・・・IT企業だからこそ、人が財産であり、人に投資してきました。そのような人に対する姿勢は、企業文化のようなものとして存在していたと思います。
しかしながら濱本も言う通り、事業拡大とともにステークホルダーが増えてきて、また世代間の感覚のギャップもあったりするのでしょうが・・・悩みのパターンや上司・部下としての感じ方も多様化しています。そのため例えば社内懇親会で拾えていた声や悩みなども、今では見えづらくなってきました。Geppoはその補完的なツールという位置づけです。
濱本氏:もともと10年くらい前から、モラルフォローを主題とした会議を行っています。現場の上長から従業員のコンディションなどをヒアリングし、月に一度、取締役や各部署役員でその対応を話し合うという会議体です。これはこれで非常にワークしているのですが、現場でひと通り対処した結果報告も含まれるため、スピード感にかけることもありました。よりリアルタイムに手が打てる、また現場の上司には見えなかった本人の本音や感情が拾えるという点で、Geppoはこの会議をも補完してくれるツールだと思います。
■Geppoの本質は離職防止ではなく、「人間関係の補完」にある
―実際にGeppoを導入してみていかがでしょうか?
佐々木氏:最初はテスト的に、新卒二年目を対象に30名ほどから導入しました。対応したのは濱本と私の2名で、手探りではありましたがPDCAを回し、2~5年目と中途社員、と対象を徐々に広げていき、現在では300人以上がGeppoの回答対象となっています。
濱本氏:先に上げたとおり、モラルフォロー会議の補完的な役割も果たしてくれています。何よりスピーディに対応できるのが良かったです。佐々木も私も、回答日当日や翌日くらいまでは1時間に一度は注視するようにしており、なにか課題を発見したらすぐにエスカレーションするようにしています。
もちろん中には杞憂に終わるようなこともあるのですが、手遅れになってからでは遅い。迅速に対応することで一定以上の効果実感を持てています。
―Geppoの導入によって退職率は下がっているのでしょうか?
濱本氏:それが下がってはいないんです(苦笑)。しかしながら離職には様々な理由がありますし、外部要因もある。Geppoだけで解決できるわけではないと思うんです。
もともとは退職率を上げたくないというニーズから導入を決意しましたが、実際導入してみてGeppoの本質は「失いかけていた社内の人間関係」を強化してくれることだと気づきました。
佐々木氏:フォロー面談の中でも「あれ、この前雨だったよね?」「最近晴れが続いていてよいね!」など、Geppoの天気をベースにした会話が行われるようになりました。それまでの社内面談では、評価や目標管理など、重くて構えがちな話題が多かったのですが、天気というライトながらも本質的な共通言語が作れたことは非常に良かったと思っています。
―実際Geppoの導入によって起こった象徴的な出来事はありますか?
濱本氏:少し前のことですが、1名気になっている人間がおり、佐々木とともにフォローを続けてきました。正直退職してしまう可能性もあるな、とも思っていたのですが、面談後のGeppoでは毎月コメントを寄せてくれるようになり、明らかに個人のコンディションが快調傾向になっていきました。
驚いたのは、その社員は昇格試験も先日受験し、見事昇格したんです。個人のコンディションに目を向け、きちんとフォローすることで個人が輝けるようになることは人事冥利につきますね。
佐々木氏:運用が軌道に乗ったこともあり、今後人材開発本部としてより別の課題に取り組むため、現状のGeppo運用は別チームに委任し、我々は別の課題へアプローチする予定です。具体的な内容は触れられませんが、よりよい会社にしていくために新たなGeppoの活用法を模索していくかもしれません。
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