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働き方の多様化、経営理念の共有、業務改善、コミュニケーション強化など、経営層から全社方針が掲げられ、まず第一歩として「意識を変えましょう」と始まることが多い「意識改革」ですが、いざ実行してみようとすると、反発にあったり、途中でうまくいかなかったり、「意識改革」を行うことはなかなか難しいものです。今回は、意識改革の方法やポイントをご紹介します。

■意識改革について 

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●「意識改革」とは
「意識改革」とは、考え方や心の持ちようを変えることを指します。仕事においては、業務に取り組む姿勢を新たにし、従来と異なった判断基準を用いたり優先順位を変更したりします。結果、伴う行動も変わっていくことになります。
 
●意識改革の目的
事業や従業員の成長、職場環境の改善など、さまざまな目的で意識改革は行われます。いくつか例をピックアップしてみましょう。
 
○収益の拡大を目指す
会社が収益拡大を目指して組織の成長を図る際に、意識改革が必要となることがあります。従来の判断基準や行動では顧客のニーズに対応できず、今以上の売り上げが見込めないということがあるでしょう。そのようなときに、属人的であった業務を棚卸し生産性の向上を図ったり、縦割りだった組織の形をサービス単位の組織にすることで顧客への対応スピードを高めたり、といった方針が打ち出されることがあります。しかし、方針に沿って形を整えただけでは、うまく対応できないものです。これまでの慣習と根底にある考え方を見直し、行動を変える必要が出てきます。
 
○従業員の働き方を見直す
政府が推進する「働き方改革」に合わせ、従業員の働き方の改善に取り組む企業が増えています。時短勤務やテレワークの導入、プレミアムフライデーや有給休暇の取得奨励も該当課題です。また、副業の解禁や企業によるフリーランスの活用など、企業と働き手の関係性も変わりつつあります。多種多様な人材の活用、労働時間ではなく成果による評価、ワークライフバランスという考え方、転職に対する抵抗感の希薄化など、労働環境も急激に変化しています。これには終身雇用、年功序列賃金、労働組合という環境下で長年にわたり勤め上げてきた従業員の価値観とは相容れないこともあるため、意識改革が必要となります。
 
○業務効率の改善を図る
経費削減や生産性向上を目指して業務効率の改善を図る場合も、意識改革が必要になります。ルーティン化された業務や、ミスをなくそうとして逆に手続きが膨れ上がってしまった業務に生じている多くの無駄は、該当部門では気づかないものです。まずは前例や慣習を疑うことから始めてみるのもいいかもしれません。意識していなかったことを意識するだけで、大きな改善につながることもあります。
 
「意識改革」は従業員の考え方や気持ちを変え、新たな考えで行動することで改善につなげていくというものです。まずは、当たり前に行っていたことや思い込みに意識を向けるところから始めてみましょう。思わぬところで良い改善ができた、間違った認識だったという発見があるかもしれません。
 

■意識改革の方法

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何かしらの目的を達成するために取り組む「意識改革」。その具体的な方法や手順についてそれぞれ見ていきましょう。
 
○現状の把握と変革すべきことを考える
最初に行うことは、現状を把握し理想の姿を明確にすることです。例えば、「顧客満足度の向上」のために、従業員にはもっと顧客に寄り添い顧客目線に立って業務にあたるよう、「現場主義」を方針として打ち出したとします。そこで、顧客に寄り添えていない状況とは、どんな場面でどういうことをしている状況なのか、顧客目線に立つこととは、顧客の何を知り、どんなときにどういった行動をとることなのか、従業員が把握できるよう具体化する必要があります。具体化ができたら現状を細かく把握し、現場主義を実践できている理想の姿とのギャップを埋めるために必要な、意識改革を検討していきましょう。
 
このようなときに活躍するのがGeppoです。ある大手消費財メーカーでは、現状把握をGeppoで行っています。Geppoの基本の使い方は、月に1回、3つの質問に答えるだけですが、フリーコメントの送信もできます。これにより、管理者は従業員の現状を把握し、さらにその経過もGeppoでトラッキングしています。
 
○変革の内容を具体化し、明示する
変革の必要性や考え方が共有されたとしても、具体的な行動に落とし込めなければ、従業員は何をすればいいのかわからないこともあります。実行すべきことを細かく分割し、具体的にわかりやすく従業員に明示しましょう。「顧客目線に立つ」ために、顧客主催の催事に顔を出してエンドクライアントの属性を把握する、顧客の競合調査をするなど、具体的なアクション設定ができると従業員も動きやすくなります。また、経営者や管理職者は目標やKPI(重要業績評価指数)の設定をし、具体的なアクションについては従業員に考えさせることで、主体性を引き出す方法もあります。
 
○トップから行動を起こす
意識改革を確実に進めるには、経営トップがまず見本となって行動を起こすことが大切です。全社集会や朝会など、ことあるたびに従業員に説明するとともに、目に見える形で行動して、意識改革を行うことを伝えます。「現場主義」を打ち出したにもかかわらず、経営者や管理職者が顧客のもとに出向かなければ、従業員たちは自分たちもやらなくていいと判断するかもしれません。トップが率先して行動することで、従業員も共感し実行する人が増えてきます。
 
○従業員のモニタリングをする
意識改革には時間がかかります。1日でできるものではありません。したがって、意識改革を根付かせるために、従業員の意識の変化する度合いをモニタリングして検証する必要があります。目標を設定している場合は、モニタリングのタイミングは評価時でもよいでしょう。モニタリングして検証し、根付くまで改善してPDCAを回し続けることが求められます。
 
○成果を共有し、意識改革を広げていく
ある部署で意識改革が成功したときには、その成功事例を全社で共有しましょう。まだ成功していない部署があれば、成功のポイントを取り入れ達成できるようつなげていきます。また、成功した部署は、さらにほかの部分でも意識改革ができないかを考え、広げていきます。
 
従業員の意識を変えることは、なかなか難しいものです。反発したり、心の中で葛藤や混乱が起こったりする可能性もあります。しかし、意識改革を根付かせることができれば、自主的に仕事の方法を考え実行し、改善できるようになります。時間をかけて従業員を教育していきましょう。
  

■意識改革を成功させるためのポイント

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ここまで取り上げてきた従業員たちの「意識改革」。なぜ実現させることが難しいのでしょうか。その理由と成功させるためのポイントをご紹介します。
 
●「意識改革」が難しい理由
 
〇現場担当者の抵抗
人事担当者や上司がなんとか従業員の意識を変えようとしても、従業員が保守的となり、意識や行動をなかなか変えられないということがあります。長い間、慣れ親しんだ方法で仕事をしてきた従業員にとって、方法を変えることは高ストレスを与え、「このままの方法でもなんとかできる」という発想になり、意識改革が進みません。
 
〇組織(部門)の抵抗
縦割りであろうとプロジェクト型であろうと、長らくひとつのチームとして仕事をしていた場合、自身が所属していた部門の利益の最大化を図ってきており、メンバー同士の仲間意識も芽生えています。全社的にメリットがあったとしても、自分が所属している組織に負荷がかかるような改革の場合、意識的であろうとなかろうと、積極的に取り組もうとしないこともあります。
 
●「意識改革」のポイント
意識改革を成功させるためのポイントを具体的に見ていきましょう。
 
○従業員の主体性を引き出し、継続させる
従業員が主体的にやりたい、変えたいと思うことであれば、自然と行動にも表れ実行しやすくなります。短期的に従業員の業務を圧迫したり、負荷をかけたりするようなことが避けられない場合、強制的に進めれば反発も大きくなります。強制的なアプローチにならないよう努力し、従業員の自発的な意識改革を促しましょう。
 
○長期的に徐々に意識改革を進めていく
意識改革の必要性を理解したとしても、急に実行に移せる人はほとんどいないといってもよいでしょう。急な変化を求めず、最初は小さな一歩から変化させ、徐々に目標を上げていきましょう。人間は、経験したことがないことに対しては、心理的な抵抗を覚えます。また、現実味がないと感じる目標に対しても、やる気を出すことができないといわれています。

意識改革で従業員の主体性を育成

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従業員の意識改革を成功させるのは難しいことです。しかし、意識改革を根付かせることができれば、主体的に仕事の方法を考え実行し、改善できるようになります。人事担当者や上司は、時間をかけて従業員を教育していきましょう。