サイバーエージェントには異色の社内ベンチャー企業がある。株式会社マッチングエージェントがそれだ。

趣味を起点に男女をつなぐマッチングアプリ「タップル誕生」を運営する企業で、2014年5月のリリース以降急速にサービスを伸ばし、国内トップクラスのシェアを誇るまでに成長した。

たくさんの子会社を抱えるサイバーエージェントグループの中でも収益率が高く、また新しいカテゴリの挑戦ということもあり、非常に期待値の高い戦略子会社であるが、急成長を遂げる中で様々な組織の「歪み」に直面した。

実際、急成長を遂げる中で、どのような組織課題が生まれ、どのように対応したのか。

代表の合田氏に話を伺った。

■急成長する「タップル誕生」

タップル誕生について語る合田氏

-最近のマッチングエージェント、「タップル誕生」について教えて下さい。

合田氏:2014年からサービスを開始していますが、現在では若者を中心に約400万人のユーザーが利用してくれており、最近では佐賀県の西松浦郡有田町など地方自治体の連携などの動きも出てきました。

マッチングアプリ市場は、国内外に明確な競合がいる市場で、日々ユーザーと向き合いながら競争とも向き合っている毎日で、多角的な視点で戦略を構築し、着実に実行に移して行っています。

-事業成長していて、競合が明確だとチームの士気は高いのではないでしょうか?

合田氏:チームの士気は高いと思います。ただ事業の拡大とともに、毎年倍々ゲームで従業員数は増えてきています。それ自体は非常に好ましいことではあるのですが、経営者である私自身の目が行き届かなくなってきていることも実感していますし、それに紐づく諸問題もちらほら生まれ始めています。特に従業員それぞれのモチベーションについては課題を感じていますね。

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■「横串」施策は「上」から行う

組織の拡大とともに起こった問題について語る合田氏

-組織の拡大とともに起こった問題はどんな事がありましたか?

合田氏:上記で述べたとおり、一つはモチベーション維持の問題があります。加えて、「隣のチームが何をやっているかわからない」という状況が発生しはじめています。

B2C系スタートアップはエンジニアとビジネス(営業やマーケティング)が縦割りになりやすく、放っておくと組織への無関心に繋がります。

いずれこのようなことが起こることは想定していましたが「この規模でこのようなことが起こるのは正直まずいのではないか」と感じ始めていました。

-どのような対応をして乗り越えたのですか?

合田氏:正直まだまだ試行錯誤の最中ですが、やはり「横串」の施策が必要だと考え、まずはボード会議を増やしました。今までは一つのボード会議で意思決定をしていたのですが、

  • 経営ボード
  • 技術ボード
  • プロモーションボード
  • プロダクトボード

上記のようにボード会議を役割ごとに複数立て、それぞれの主要な現場の人物を引き上げて会議体に参加してもらうようにしました。これにより、現場に近い人間の声を吸い上げつつ、経営に近い人間を増やしていきました。

僕自身この会議体のおかげで対話の機会は増えましたし、経営の言葉が現場に浸透する「浸透圧」のようなものも向上したと思います。横串施策というと、例えば飲み会のようなものを増やそう!みたいなことになりがちなのですが、ボードメンバーから変えていったことは非常に効果的だったと思います。

■成長中も「仕事」以外の議論ができているか?

-他にはなにかありますか?

合田氏:組織、会社が急激に成長すると、議論の対象は自ずと「仕事」に集中します。常に忙しいため、1on1などを行ってもテーマは仕事ばかり。

組織が成長している時はそれでも良いのですが、少し成長が鈍化したり、競合に負ける部分が出てきたりすると、一気に歪(ひずみ)が生じてきます。もっと具体的に言えば、社員に不安が広がります。

仕事の話ばかりする上司には、なかなか相談しづらいですよね。実際そのような声はあがってきました。新しく入った社員のプライベートやキャリアプランなどを理解している管理職は少なかったと思います。そういうことが積み重なり、不安が不信感につながったりもしていたと思います。

-合田さん自身が最近取り組んでいることはありますか?

合田氏:全員ではないのですが、私が面談している社員とは「将来設計」についてまで話すようにしています。マッチングエージェントは優秀な女性社員や若手社員が多い分、この先の不安がある人も多い。そうした時に、公私ともに相談することができる上司がいることは、大きな心理的安全につながると思いますし、そういう事ができるリーダーを増やすべく取り組みも今後は増やしていきたいですね。

 

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